今すぐやめさせるべき!?歯列不正につながる口腔習癖
小さなお子さんには、口腔習癖(こうくうしゅうへき)という、この年代によく見かけるクセがあります。指しゃぶりというのは、代表的な口腔習癖です。一見すると、乳幼児の愛らしい仕草に見えますが、場合によっては歯列の乱れを引き起こす原因となることがあります。ここではそんな口腔習癖の種類を始め、引き起こされる可能性がある歯列不正について詳しく解説します。
指しゃぶりは、専門的に吸指癖(きゅうしへき)と呼ばれ、親指を吸引するお子さんが非常に多いです。日常的に親指をしゃぶることによって、上の前歯が前方に突出します。その結果、上顎の歯列全体が前方に向かって長くなり、左右的な幅は狭くなるので、歯列弓の狭窄という異常を引き起こす原因ともなります。一方、下の歯は後方へと下がっていくため、結果的に出っ歯となっていくのです。
小さなお子さんは、強い緊張やストレスを感じると、爪を噛んでそれらを和らげようとする傾向があります。一見すると、何気ないクセの一つに見えますが、実際は、歯列不正につながる口腔習癖であるため要注意です。
具体的には、日常的に爪を噛むことで、上の前歯が前方へと傾斜します。これを専門的には咬爪癖(こうそうへき)逆に下の前歯は後方に傾斜するため、爪を噛み続けることで見た目上は出っ歯となってしまうのです。また、咬爪癖が継続することによって、上の前歯の真ん中に隙間ができたり、歯の摩耗が起こったりすることもあります。
お子さんを注意深く観察していると、舌を前に突き出していることがあります。これを専門的には舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。これに関しては、見た目上、とても愛らしい仕草であるため、大きな問題はないように思えますが、歯科的な観点からすると問題ありといえます。
日常的に舌を突き出していると、まず開咬(かいこう)という歯列不正を引き起こすことがあります。これは奥歯は咬んでいても上下の前歯は咬み合わず、安静時にも口をきちんと閉じることができなくなります。また、上下の両方の前歯が前方へ傾斜してしまうため、上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)という歯列不正も引き起こします。その他、歯列のところどころに隙間が生じる空隙歯列(くうげきしれつ)なども生じることがあるため注意が必要です。
このように、お子さんには歯列不正につながる様々な口腔習癖が存在しています。ただこれらは緊張やストレスを解消するなどのメリットもあるため、必ずしも今すぐやめさせるべきものとも言い切れません。ですから、矯正歯科医の先生と相談しつつ状況をみて改善できれば幸いです。
3歳を超えてまだこうした口腔習癖が残っている場合は、将来的に歯並びの悪さにつながる可能性が高くなりますので、少しずつ、癖のなくさせる努力をしていきましょう。最も理想的なのは、家族の中で無理なく自然に辞めるよう促すことです。それでもやめない場合は、歯科を受診して、歯科医師の助言を仰いでください。ただ3歳までに必ず辞めなければというものではありませんし、その子の置かれている状況を改善しなければ、心の問題など大事なサインを見落としかねません。癖というものは、多角的な目線から検討し、アドバイスが欲しい場合には、歯科で口腔習癖に対する解決法もいくつかご用意できるかもしれません。