放置しないで!乳歯の早期脱落
私たちの歯には、子供の歯である乳歯と大人の歯である永久歯の2種類があり、それぞれ性質が異なります。特に乳歯は、ある時期を迎えると全て抜け落ちますので、いくつかの注意が必要となってきます。ここではそんな乳歯について、早い段階で抜け落ちてしまった場合の対処法などを詳しく解説します。
・乳歯は生後10ヶ月から2歳半の間にほぼ生えそろう
乳歯は一般的に下の前歯から生えてくるのですが、大体生後10ヶ月くらいが萌出時期となっています。そして、一番奥の歯まで生えそろうのが2歳半くらいです。歯の生えてくる順番や時期には個人差がありますが、日本人のお子さんではおおよそ共通しています。
・6歳から乳歯の脱落が始まる
乳歯の脱落は、6歳くらいから始まります。最初に抜け落ちるのは前歯です。その後順番に奥の歯が抜けていって、最後に抜け落ちる奥歯は12歳前後の時期となっています。乳歯が抜け落ちる順番や位置というのは、これから生えてくる永久歯の順番や位置と密接な関係があります。
さて、乳歯がいつから生え始めて、いつ頃抜け落ちるのかについてはよくわかって頂けたかと思いますが、次にお伝えしたいのは、乳歯が早く抜け落ちることによる悪影響です。元々生えてくる順番や時期が決まっているものですから、それが早まることで順番などがずれると、自ずと何らかの悪影響が生じるのは容易に想像できるかと思います。
・歯列に隙間が生じると自然に埋まっていく
本来抜け落ちるべき時期より数ヵ月早く、乳歯が脱落してしまったケースを考えてみましょう。脱落時期が早まっているので、永久歯はまだ生えてくる準備が出来ていません。つまり、乳歯が抜け落ちたことによって生じた歯列の隙間は、数ヵ月間、放置されることとなります。もちろんその状態が保存されるのであれば問題はないのですが、歯列の性質上、そうはいかないのです。
私たちの歯は、歯列に隙間があると、それを埋めるよう歯が移動する性質があります。両隣の歯は隙間に向かって倒れこんだり、もともと脱落歯と噛み合っていた上下の反対側の歯は、隙間に向かってのびてきたりします。そうなると、次に生えてくるはずの永久歯のスペースが奪われてしまうのです。そうした状況が予想される場合は、予め処置を施す必要が出てきます。
乳歯の歯科治療では、保隙装置(ほげきそうち)というものがよく使われます。これは乳歯の早期脱落などによって生じた歯列の隙間を一定期間保つために活用される装置です。それぞれ抜け落ちた歯の種類や位置によって、使用される装置が異なります。
ともあれ、乳歯が早期脱落した際には、保隙装置などを使って対処することが重要であることを知っておいてください。もちろん、乳歯の早期脱落というのは、歯科医師でなければ判断が難しいので、小さいお子さんがいらっしゃる方は、定期的に歯科を受診することをお勧めします。この時期にきちんとした対応をすることで、永久歯列への悪影響を極力抑えることが可能といえます。