乱れた歯並びは悪!?歯科治療は磨きやすいことを善とする
矯正治療に興味のある方なら、乱れた歯並びのデメリットについて一度は考えたことがあるかと思います。歯並びが悪いと、何よりまず見た目が悪くなりますよね。それをコンプレックスに持った方が歯列矯正を希望されることが非常に多いです。ただ、乱れた歯並びというのは、見た目が悪くなるという以外にも、実は沢山のデメリットが存在しています。ここではそんな乱れた歯並びのデメリットについて詳しく解説します。
歯磨きの際の磨き残しというのは、歯と歯の間に集中します。こういった部位には、通常の歯ブラシの毛先は上手く入りません。そのため、歯間ブラシやフロスといった特別な清掃器具を使うよう、歯科医師からも勧められていることかと思います。歯並びが乱れると、こういう歯ブラシでは磨きにくい部位が増えることとなります。
例えば、八重歯や乱杭歯を思い浮かべてみてください。これらの歯列不正は、歯が外側に向いていたり、内側に傾いていたりしますので、通常の歯ブラシを使っても上手く汚れを落とすことができませんよね。これはお口の健康にとって非常に大きなデメリットとなります。
私たちがものを噛む時は、上の歯と下の歯が上手く噛み合うことで食べ物を噛み砕いたり、すりつぶしたりします。これがもし乱杭歯のように、歯列が乱れてしまっていたら、上下の歯で上手く噛み合うことができなくなります。その結果、食べ物を咀嚼する効率が低下こととなります。また、上下の噛み合わせが悪いと、顎の関節に過剰な負担がかかったり、歯の摩耗につながったりしますので注意が必要です。
私たちが言葉を発する際に、最も重要となるのは声帯などの発声器官ですが、実は歯や舌なども構音器官としての重要な役割が存在しています。ですから、特定の歯が抜け落ちていたり、おかしな生え方をしていたりすると、発音が悪くなることがあるのです。これも乱れた歯並びのデメリットといえるでしょう。
このように、乱れた歯並びは沢山のデメリットをはらんでいますが、その中でも歯科医師が配慮するのはブラッシングのしやすさです。実は、矯正治療に限らず、歯科治療の多くはブラッシングをしやすいという点を重視して、様々な治療を施します。
例えば歯周病の治療では、余計な歯肉を切除したり、歯を2つに分割したりするような処置を施すことがありますが、その目的はブラッシングをしやすい口内環境を整えることなのです。また、ブリッジや入れ歯といった補綴装置も、ブラッシングをしやすいことを念頭に置いて設計が行われているのです。
以上のことから、歯科医師は歯磨きがしにくい状態を「悪」であるという意識の元、日々の診療に当たっているといえます。そういう意味で、乱れた歯列は見た目が悪いというだけでなく、歯磨きがしにくくなるという点で、大きなデメリットを抱えているといえるのです。