銀座HINA矯正歯科


矯正歯科の専門医が教える「治療前に必ず確認すべき(裏側)矯正」のメリット・デメリット

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LIFE 2017/04/12

矯正が必要な人とは

2012年3月、アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社が行った調査※によると「(もともと)歯並びが良くない日本人」の割合は61.0%で、そのうち矯正治療率は21.3%に過ぎませんでした。このデータから換算すると、私たち日本人の約40%は歯の矯正が必要だと言えます。

 

歯や歯列矯正に関する様々な調査が行われたこの調査で見えてきたのは私たち日本人の歯列矯正に対するネガティブなイメージです。

 

「歯並びによって笑顔が左右されると思う」「歯並びによって口腔内の健康に影響があると思う」といった質問には日本人の70%以上が「そう思う」と回答していますが、一方で63.0%の日本人が「矯正装置による不自由がつらい」と考えており、矯正が必要にもかかわらず放置している人が多くいる現状が明らかです。

 

※<日本人の歯並びに関する意識調査> アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社

 調査対象: 日本(東京)、アメリカ(ニューヨーク)、中国(上海)の 20代~40代の一般男女600名(各国200名)

 調査方法: インターネットリサーチ会社によるアンケート調査

 調査期間: 2012年3月

 

歯列矯正治療とはどんな治療なの?

「歯列矯正」には主に3つの方法があります。

 

<表側矯正(ブラケット矯正)>

 前歯の凹凸がひどい場合などに行われる一般的な方法。矯正の対象となる歯にブラケットという矯正装置をとりつけて歯並びを整えます。見た目の悪さがネックですが、目立ちにくい透明のクリアブラケットを使う方法もあります。

 

<裏側矯正(リンガル矯正)>

 前歯の凹凸が激しいけれど、目立つ表側のブラケット矯正はいやだという方におすすめの方法が『裏側矯正』です。

 この方法では通常は歯の表側につけるブラケットを歯の裏側につけて矯正を行います。矯正装置が見えないので人に気づかれにくいのが特徴です。

 

<マウスピース矯正>

 マウスピースを歯にかぶせることで歯並びを治す方法で、凹凸が軽度の場合や隙間が気になる歯に有効です。治療が進むごとに複数のマウスピースを交換し、段階的に歯並びを整えていきます。

 使用するのは透明なマウスピースなので目立たず、金属を使わないので金属アレルギーの方にも安心ですが、表側矯正や裏側矯正に比べて治療期間が長い、細かな歯の動きが苦手といったデメリットがあります。

 

歯並びが悪いことによる悩み

歯列矯正は歯並びを整えて美しくするという美容の側面と同時に、咬み合わせを正すことにより様々な健康を改善する意味があります。では、歯並びが悪いと具体的にはどんな不都合があるのでしょう。

1.見た目の印象

 いくらきれいな歯でも並びが悪いと不健康な印象や不自然な印象を与えてしまいます。また顔の輪郭も歪んでアンバランスな顔立ちになりかねません。特に女性は歯並びを気にして自然な表情や笑顔をつくれなくなることが多いようです。

2.虫歯になりやすい

ガタガタの歯並びだと、歯ブラシが届かず歯垢や歯石がたまりやすくなり、食べ物の色素で歯が黒ずんできます。歯磨きがしっかりできない部分は虫歯が進行しやすく、歯周病になるリスクも飛躍的に上がります。

3.きちんと咀嚼できない

咬み合わせが悪いと力が入らず食べ物をきちんと噛みちぎったり、噛み砕くことができず塊のまま食べ物を飲み込むことになります。咀嚼されなかった食べ物は胃腸できちんと消化・吸収されないため、病気や肥満など、健康に悪い影響を及ぼします。

4.活舌や発音が悪くなる

出っ歯や隙っ歯だと隙間から空気が漏れて発音が悪くなりがちです。また歯が内側に向かっている場合には舌がうまく動かず舌足らずになってしまう場合があります。

5.顎関節への負担

歯の咬み合わせが悪いと、顎に負担がかかり無理な動きを繰り返すことになります。すると顔の輪郭がゆがむばかりか、顎関節症になるリスクが増します。

 

矯正する?しない?その判断基準は?

 食べ物が噛みにくいとか、発音に問題がある、歯並びの悪さがコンプレックスになっているなど、現実的な影響を感じている方は真剣に歯列矯正を検討すべきです。

 判断がつかない方は鏡の前で下記の点をチェックしてみましょう。

 

 ・歯並びに凹凸や隙間はないか?

 ・上の前歯が下の前歯より2~3ミリ出ていて下の前歯を2~3ミリ覆う状態になっているか?

 ・奥歯を咬み合わせて「ハイ、チーズ」と口を横に開いたとき、顔の中心と上下の前歯の中心が直線で結べるか?

 ・常に口が開いていて、閉じづらくはないか?

 ・歯科医院でブリッジやインプラントの勧めはなかったか?

 

 少しでも思い当たった場合は気軽に歯科医にご相談ください。

 

通常の表側矯正(ブラケット矯正)と、見えない裏側矯正(リンガル矯正)の違い

矯正治療の代表的な「表側のブラケット矯正」とは、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表側にひとつづつとりつけ、そこにワイヤーを通して力をかけることで少しずつ歯を動かしていく方法です。

 

よく知られたスタンダードな矯正法であり、じゅうぶんな実績を備えていますが、見た目は決してよくありません。

 

また、治療中はしっかりと歯のケアを行わないと虫歯ができやすいというデメリットもあります。

 

そこで、ブラケット矯正の効果はそのままに「見た目が悪い」「虫歯になりやすい」といったデメリットをなくす方法として考案されたのが「裏側矯正(リンガル矯正)」です。

 

「裏側矯正」はブラケットとワイヤーを、文字通り歯の裏側につけるため、矯正装置が歯に隠れて、矯正していることがわかりにくいのが特徴です。

 

また、歯の裏側は表側に比べて唾液が多く循環しているために虫歯菌が増殖しにくい、エナメル質が歯の表側より3倍も厚いため酸に強い、という特徴を持っています。そのため歯の裏側に矯正装置を取り付ける裏側矯正は表側矯正よりも虫歯になりにくいというメリットがあります。

 

では、表側矯正と裏側矯正を比べた場合、費用はどう違うのでしょうか。

形が複雑な歯の裏側には表側用の矯正装置を使うことが出来ず、患者さんひとりひとりに合わせた装置を作る必要があります。また、装置作成や装置装着、歯の移動にも高度な技術が要求されるため、裏側矯正の方が費用は割高になります。

 

あくまでも目安ですが、表側矯正は60万円から80万円程度。裏側矯正の場合は100万円~120万円程度の費用が一般的です。

保険適応、それとも自費治療?

 

 なお、歯列矯正は通常「自費治療」となり保険適用の対象外ですが、先天性の疾患や顎の手術による矯正治療が必要と診断された場合には、表側矯正(ブラケット矯正)限定で保険治療を受けることができます。「顎変形症」など著しく顎の不調和がある場合はもちろんですが、国が指定した先天性疾患により、あまりに咬み合わせが悪く発音障害や咀嚼障害、顎関節症を引き起こしているような場合は保険適用になるので、治療の際は医師によく相談するとよいでしょう。

 

歯列矯正の治療期間

 

歯列矯正の治療期間については状況や治療方針、先生の技術などによって異なりますが、装置取り付けから装置除去までに約2年程度が一般的です。

表側矯正と裏側矯正は専門外のクリニックでは、表側矯正の方が早く終わるなどの情報もありますが、裏側専門のクリニックならどちらも同じです。ちなみに、裏側矯正を専門としている先生は表側矯正も得意としています。

なお、マウスピース矯正の場合は治療期間は長く必要で、ワイヤー矯正よりも倍近くかかります。

 

治療前に多い問合せ

<金属アレルギーについて>

歯列矯正と聞くと、ブラケット矯正装置の印象から金属アレルギーを心配される方も少なくありません。

 

しかし、矯正装置にはセラミックなど、金属を使用しない素材の装置も選択可能です。金属アレルギー=矯正不可能などということはありません。

 

もし仮に、皮膚の症状が出る方でも口の中では症状が出ない方もいるため、試しに使用予定の装置をいくつかつけてもらい反応をみることもできます。治療費のことを考えると、段階を踏んで進むことをおススメします。

 

 

<治療中の歯磨きについて>

矯正治療中は装置を取り付ける前とくらべて特に丁寧に歯磨きを行う必要があります。言うまでもなく装置のついた口の中は食べかすが残りやすい状態です。

しっかりとブラッシングをしないと磨き残しがプラークと呼ばれる細菌のかたまりとなり、虫歯や歯周病を引き起こしてしまいます。

 

歯ブラシも一般的な市販のものではなく矯正用のブラシを使い、磨きにくい場所はコンパクトヘッドのワンポイント歯ブラシを使うなど、歯ブラシの使い分けも必要です。

 

 

<矯正治療中にやってはいけないこと>

矯正治療中といっても大きく気を付けることはありませんが、下記の点については意識するようにしてください。

 

〇歯磨きはより丁寧に行ってください。

〇激しいスポーツやボディコンタクトのあるスポーツは避けましょう。(*表側矯正時)

〇ガムやキャラメル、お餅などは装置につきやすいので十分に注意しましょう。歯磨きも念入りに。

〇形状記憶合金の矯正用ワイヤーを使用している場合、口腔内の平均的な温度になったときに適正な形状になるため、口の外では柔らかく、口の中では適度な力がかかるようになっています。極端な話、あまり冷たいものを摂り続けていると口の中の温度が下がって、ワイヤーが柔らかいまま適正な形に戻らないなんてこともあるのでご注意ください。

<妊婦でもできる?>

妊娠中でも歯列矯正は問題なく行うことができます。

 

ただし妊娠中は歯周病菌の好物である女性ホルモンが増加するため、歯ぐきの病気になりやすくなります。

 

また、唾液の量が減り中和力が低下するうえ、つわりによって歯磨きが気持ち悪くなっておろそかになりがちです。

妊娠中はとくに磨きやすい小さな歯ブラシや刺激の少ない歯磨き粉を選ぶといった工夫が必要でしょう。

 

また、出産前に出来るだけ菌を減らせるよう、歯科医での専門のクリーニングを受けることも大切です。

 

 

<最短どれぐらいで治療がおわる?>

人によりますが、装置取り付けから装置除去までに短い人で半年~1年ほどです。

 

 

<治療後は、歯並びはそのままかわりませんか?>

矯正で動かした歯は、そのままでは必ず元に戻ろうとします。そのため装置除去後は歯が元の位置に戻らないようにするため、保定装置を使用する必要があります。

 

矯正専門医と歯医者は何が違うのか

 今日の歯科医学は、技術の発達や研究の成果によって非常に細分化されています。矯正専門医は歯科大学で6年間の教育を受けた後、さらに大学病院の矯正科で専門的な教育を受けています。

 

 主に虫歯などの治療を行う歯医者さんと、矯正を専門に学んだ専門医にはおのずと決定的な技術的差異が生じます。逆に言えば歯列矯正はそれだけ専門的な技術が要求される治療法だということになります。

 

 

 一般歯科や小児歯科の先生と矯正専門の先生では見る目線が全く違います。矯正治療は装置を歯につければ、良くも悪くも歯は動きます。動かすことは容易なのですが、矯正専門医は、まず検査・診断によって、患者さんの現状の把握からどんな治療方法がよいのかを見極め、その目的の位置まで歯を動かしていきます。

 

大学で矯正を学ばず、虫歯治療しかしてこなかった先生が、開業後矯正に興味を持ち、治療してみたものの、その難解さや奥の深さから、トラブルを抱え断念していることの多さといったらきりがありません。

 

 

 

矯正治療についてのまとめ

 

 かつて歯列矯正治療にネガティブなイメージが強かったことは否定できません。しかし技術の発達とともに「高い」「長い」「痛い」等のイメージは既に過去のものになろうとしています。何よりも裏側矯正という技術は一番のネックだった「見た目の悪さ」というハードルを取り払いました。美と健康を育む矯正治療を気軽に選べる時代が来ています。

 

監修 裏側矯正の専門医「銀座HINA矯正歯科 今野院長」

記事監修:矯正専門医 今野裕一

 

・日本矯正歯科学会 認定医

・日本舌側矯正歯科学会 正会員

・インプラント矯正研究会 正会員

裏側矯正専門医として活躍。

2012年 銀座HINAを開設し、矯正歯科院長に就任。

 

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